Tuesday, August 21, 2018

科学と神の2000年の相克を描く


三田一郎『科学者はなぜ神を信じるのか――コペルニクスからホーキングまで』(ブルーバックス)

著者は素粒子物理学専攻の名古屋大学名誉教授。代表テーマは「B中間子系におけるCP不変性の破れの研究」。プリンストン、コロンビア、フェルミ研を経た科学者。だが同時にカトリック名古屋教区終身助祭、東京大司教区協力助祭だという。

本書に登場するのはピタゴラス、アリストテレス、コペルニクス、ガリレオ、ブルーノ、ケプラー、ニュートン、ファラデー、マクスウェル、ルメートル、アインシュタイン、ボーア、ハイゼンベルク、ディラック、パウリ、プランク、フリードマン、ホーキング、小林誠、小柴昌俊、益川敏英・・・

近現代科学入門書だが、科学理論の入門ではなく、科学と神の対抗関係、世界観の変遷、そして科学者の信仰にかかわるエピソードの数々だ。イスラム等は除外して、キリスト教に絞っているのは、第1に、近代科学の主流が西欧世界であったこと、第2に著者自身が信仰者であることだ。著者がキリスト教以外を無視しているというわけではない。

「私自身は、科学法則の創造者を『神』と定義しています。ルールが存在するということは、その創造者である神が存在するということだ、と考えるのです。」

「科学者とは、自然に対して最も謙虚な者であるべきであり、そのことと神を信じる姿勢とは、まったく矛盾しないのです。」


John Lennon, Eric Clapton, Keith Richards, Mitch Mitchell (Jimi Hendrix Experience)