Thursday, March 05, 2026

アルバネーゼ『ガザへの集団犯罪――私たちはいかにジェノサイドに加担しているか』

 フランチェスカ・アルバネーゼ『ガザへの集団犯罪――私たちはいかにジェノサイドに加担しているか』(地平社、2026年)

もくじ

I 正義よ、私たちの嵐となれ――ネルソン・マンデラ財団年次講演

II 占領経済からジェノサイド経済へ

III ガザにおけるジェノサイド――集団犯罪

解説1 ジェノサイドを、植民地支配を終わらせよ!――アルバネーゼ二報告の射程と意義(早尾貴紀)

解説2 沈黙という選択肢はない――米国トランプ政権による国連特別報告者に対する制裁(小坂田裕子)

国連人権機関のパレスチナ問題特別報告者による2つの報告書の翻訳である。冒頭には、ネルソン・マンデラ財団年次講演が収録されていて、そのキーワードは「ウブントゥ」と「スムード」である。

「ウブントゥとスムードの信念を体現した、すべての人にとって人間性と連帯、正義、平等が尊重される世界に向かって。私たちはひとりでは儚くて蝶々の羽根のように脆い。しかし、小さな羽根を皆で一緒にはためかせれば、嵐を起こせるのです。正義よ、私たちの嵐となれ。」

ガザにおけるジェノサイドは、巨大な複合犯罪である。ジェノサイド条約及び国際刑事裁判所規程のジェノサイドの定義には5つの行為類型が含まれる。集団構成員に対する殺人だけではなく、生存を脅かす生活条件を課すことや、子どもを他の集団に移すことも含まれる。過去の多くのジェノサイド事件でも、単一のジェノサイドではなく、複合犯罪としてのジェノサイドが起きてきた。だが、ガザのジェノサイドは、その規模の大きさ、期間の長さ、犯行者の多様さと広がりなど、いくつもの点で際立った巨大さと複雑さを有している。

アルバネーゼ報告書は「占領経済からジェノサイド経済へ」と題して、「経済ジェノサイド」の全貌を描き出す。ガザにおけるジェノサイドは、ガザにおいてイスラエル軍によって行われているだけではない。むしろ、ガザの外で行われている。イスラエル軍ではなく、イスラエル軍や企業と結びつき、協力してきた世界、特に欧米各国、そしてその企業によって行われている。日本も含めて世界資本主義の主要なプレイヤーが、ジェノサイドとつながりを有している。そのネットワークは長年にわたって形成されてきており、世界資本主義の「常態」となっており、そのためそれがジェノサイドへの加担であることが見えにくくなっている。その全貌をアルバネーゼ報告書は描き出す。

自由と人権と平和を求める世界の民衆の最先端を駆けるアルバネーゼは、その知性と志ゆえに経緯を持って迎えられている。ただし、アメリカとイスラエルからは「反ユダヤ主義者」と罵声を浴びせられてきた。

イスラエル/パレスチナ問題はもとより、世界各地の紛争とジェノサイドに関心のある人すべてにとって、最重要の著者が迅速に翻訳された。ジェノサイドは紛争の現場で起きるが、実は同時に世界中で起きている。世界のビジネスがジェノサイドを支援し、助長しているからだ。資本主義、植民地主義、人種主義、ジェノサイドは解きほぐせない糸で雁字搦めに結びついている。経済ジェノサイドの真相を把握するための必読書である。

アルバネーゼは1977年、イタリア生まれ。ピサ大学で法学を修め、ロンドンSOAS大学で修士課程修了。国連人権高等弁務官事務所勤務歴。ジョージタウン大学国際移住研究所の研究者だったが、アメリカが彼女に制裁を課したため、2025年末にはその任を離れた。パレスチナ問題グローバルネットワーク創設者。2022年、国連のパレスチナ問題特別報告者に任命された。