Friday, March 28, 2014

映画『遺言――原発さえなければ』

映画『遺言――原発さえなければ』(監督・豊田直巳・野田雅也)を観た。東中野のポレポレで先週までの上映だったので、観ることができないと思っていたが、延長になったおかげで観ることができた。同じような人が多かったようで、昨夜の東中野ポレポレには知り合いが多かった。上映前の監督トークで原発訴訟弁護士の河合裕之(弁護士)も紹介されていた。                                                                                   3.11から3年間、250時間のフィルムから厳選された4時間弱のフクシマ物語。飯館の酪農家たちの原発被害、放射能との闘い、牛を処分せざるを得ない苦悩、避難、仮設住居。家族が離れ離れになり、コミュニティが消えていく不安。何と闘っているのかが見えない。いつまで闘えばよいのかもわからない。恐怖と不安と悲嘆のなか自ら命を絶つ人も。本当の敵は霞が関や永田町にいるのだが、向き合うこともできない。被害者の言葉は届かない。底抜けの無責任と頽廃こそ、この国の中枢の特質だ。国民を殺す国家の棄民政策はいまだに変わらない。言葉にならない思いが、さまざまに映し出された映画だ。                                                                    あまりの悲劇に涙が出る。何度も何度も涙に襲われる。この涙は何だろうか。映画を観て涙を流すことほど簡単なことはない。飯館の被災者たちは、泣いて、泣いて、泣いて、その挙句にまだ泣いて、生きている者は生き続けているのだ。必死に、決意を込めて、プライドを保って、それぞれの人生を生き抜いている。観客は、心を痛めて涙を流しつつ、立ち上がった酪農家たちに励まされて、再びともに闘う決意を固めるしかない。                                                                  ジャーナリストとしての意地と覚悟と勇気をもってこの作品をつくり上げ、世に送り出してくれた豊田直巳と野田雅也――お2人に感謝。                                                                                                                 ジュネーヴから帰国の飛行機でエコノミー症候群状態なのに、ポレポレで4時間座っていたので、身体的には辛く、重たい映画に精神的にも辛い気分だが、観て良かった、間に合ってよかった。