Thursday, March 06, 2014

日中朝「慰安婦」問題で論戦、国連人権理事会

3月6日、ジュネーヴの国連欧州本部で開催中の国連人権理事会で、「慰安婦」問題、南京大虐殺、靖国問題をめぐって、日本、中国、朝鮮が論戦を戦わせた。この日は議題1の後半の一般討論で、各国政府が人権に関する一般的発言をするもの(要するに、特定のテーマではなく、各国が自由に発言する)。前日までのハイレベル・セグメントで各国政府が基調演説をし、この日は一般討論だった。昼休みにNGOサイドイベントに出たので、ちょっと遅れて入ったところちょうど日本政府が「反論権」の発言をした。人権理事会では、他国やNGOが自国のことについて発言した場合に反論権を行使することができる。                                                                                 日本――先ほどの中国と朝鮮の発言に反論する。中国政府の主張に反して、日本は第二次大戦中の歴史の事実について真摯に反省し、二度と繰り返さないとし、悔恨しremorse、謝罪apologyした。今の内閣の立場はこれまでの内閣の立場と変わっていない。朝鮮政府の主張にも反論する。日本政府は既に謝罪した。朝鮮政府は拉致問題の解決こそ行うべきである。(日本政府は英語で発言した)。                                                                                                        これに対して、中国、朝鮮が即座に反論した。                                                                                                          中国――日本に反論する。第二次大戦中、日本軍は数十万の女性を性奴隷にする犯罪を行い、被害者を悲惨な目に遭わせた。いわゆる「慰安婦」であり、これは歴史の暗い頁であるblack pages of history。しかし、日本は被害者に何の補償reparationもしていない。しかも政治家がたびたび歴史を否定する発言を繰り返している。南京大虐殺の否定発言も出ている。安倍首相は、戦争犯罪人をまつった靖国神社に参拝し、歴史の書き換えをしようとしている。(中国政府は中国語で発言した。私は英語の通訳で聞いていた)。                                                                                                                                               朝鮮――日本政府の主張を全面的に拒否するcategorically reject。1996年の国連人権委員会でクマラスワミ報告書が出され、第二次大戦中の日本軍性奴隷制が明らかになった。日本はジェノサイド、強制連行、「慰安婦」を犯したのに、安倍首相は靖国神社に参拝し、人道に対する罪を消そうとしている。拉致問題については、2002年の朝鮮と日本の間で締結したピョンヤン宣言を守っている。(朝鮮政府は英語で発言)                                                                                                                                                         これに対して日本政府が二度目の反論権を行使した。中国と朝鮮も。反論権は2度までしか認められない。                                                                                                                               日本――日本は、その歴史を認めrecognition、過去を悔恨した。その立場は変わっていないremains unchange。安倍首相が靖国神社を参拝したのは二度と戦争をしないと誓うためである。                                                                                                                                                    中国――日本の抗弁defenseに反する証拠がある。多くの政治家が歴史の事実を否定する発言をしている。 朝鮮――日本の主張は認められない。過去の人道に対する罪を正当化しようとしている。過去の犯罪を正当化することは将来の犯罪を許すことだ。日本は「慰安婦」につき法的責任も道義的責任legal and moral responsibilityもとっていない。                                                                                          以上である。                                                                                                              少々補足。最初の中国と朝鮮の発言を聞いていない。日本政府の反論から言って、どちらも「慰安婦」問題を取り上げたようだ。日本が反論したので、中国・朝鮮の反論で靖国神社も取り上げられた。                                                                                                                               韓国政府は発言しなかった。韓国政府は前日の5日、ハイレベル・セグメントの際に「慰安婦」問題を取り上げたそうだが、残念ながら聞いていないので内容はわからない。従来、国連人権機関では、韓国はあまり発言しなかった。1990年代は全く発言しなかった。当時は朝鮮とNGOが発言していた。2000年以後になって中国が時々発言し、韓国はたまに発言する程度だった。今回、韓国はハイレベル・セグメントという基調演説で「慰安婦」問題を取り上げた。