Friday, March 07, 2014
ヘイト・クライム禁止法(61)スウェーデン
スウェーデン政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/SWE/18. 7 May 2007)によると、まず条約第4条(a)に関連して、国民的又は民族的集団に対するアジテーションは刑法16章8節で犯罪とされている。メディアにおける表現の自由はプレスの自由法及び表現の自由基本法によって強く保障されている。国民的又は民族的集団に対するアジテーションの犯罪は、憲法で保護されているメディアで行われた場合、処罰される。民族的マイノリティの保護のための刑罰法規が適用される。
条約第4条(b)に関連して、人種主義活動を行う団体であっても、法律違反を行わなければ、禁止されていない。違反行為は、団体その他の集団を通じての人種主義声明の流布が、国民的又は民族的集団に対するアジテーションの規定に当たる場合。最高裁判所は1996年に、ナチスのシンボルや人種主義意見の表現は、国民的又は民族的集団に対するアジテーションで有罪とした。民主的コントロールを越えた団体設立を予防するため、刑法18章4節は、違法な軍事的行動を禁止している。以上の犯罪の共謀、準備、未遂、共犯は刑法23章に従って処罰される。犯罪が、人種、皮膚の色、国民的又は民族的出身、宗教信念、性的志向その他の事情に基づいて個人又は集団に対して行われた場合、刑罰加重事由となる。
条約第4条(c)に関連して、政府の指令に基づいて、公務員は法の前の平等を踏まえて職務を行う。民族差別の支持または促進は懲罰事由及び民事訴訟の原因になる。
具体的な適用事例や統計は掲載されていない。
人種差別撤廃委員会がスウェーデン政府に出した勧告(CERD/C/SWE/CO/18. 23 September 2008)。第4条に効果を与える法律規定が存在し、政府はこれが条約の要請に適っているという見解であるが、委員会は、人種憎悪を促進・煽動する団体を違法とし禁止する明白な刑罰規定がないことに関心を有する。委員会は、国家は条約第4条(b)に沿って人種主義団体を禁止する立場を採用し、法改正を行うように勧告する。この点で、委員会は、一般的勧告一五(1993年)を想起する。委員会は、スウェーデン政府がヘイト・クライムと闘う努力をしていることを歓迎しつつ、2000年以後、人種的動機によるヘイト・クライムが増加し、白人パワー音楽と宣伝が普及していることに関心を有する。関連する法律はあるが、十分に適用されていないこと、検事総局が立件したヘイト・クライム事例がごくわずかしかないことに関心を有する。裁判所、検察及び警察の間で異なったヘイト・クライムの定義が用いられている。人種的に動機づけられたヘイト・スピーチを予防し、訴追する努力を強化し、関連する刑罰法規を適用するように勧告する。ストックホルムに設置されたヘイト・クライム課は優れた実例である。ヘイト・スピーチなど人種主義的行為を訴追する為、検察官に研修コースを用意するよう勧告する。国家機関がヘイト・クライムの定義を共有するよう勧告する。