Sunday, March 23, 2014
ヘイト・クライム禁止法(69)モルドヴァ
政府報告書によると、過激活動と闘う法律が制定されているという。過激活動と闘う法律によると、過激活動とは公然たる団体又は宗教団体、マスメディアその他の機関を通じて、人種的、国民的及び宗教的憎悪、並びに社会的憎悪の煽動の目的を持って活動を計画、組織、準備、実行する目的をもった活動である。それには次のものが含まれる。暴力又は暴力の呼びかけ。国民の尊厳の侮辱。イデオロギー的、政治的、人種的又は宗教的憎悪又は敵意を動機とする大衆的騒動、フーガリニズム、蛮行。及び人種、国籍、民族的出身、言語、宗教、性別、意見、政治姿勢、財産又は社会的出身に依拠した市民の排除、優越性、劣等性の促進が含まれる。
過激活動と闘う法律によると、過激文書とは記録や匿名の公開情報その他の情報であって、過激活動を呼びかけ、過激活動の必要性を正当化し、戦争犯罪や、民族的、社会的、人種的、国民的又は宗教的集団の一部または全部の殲滅に関連する犯罪の実行を正当化するものをいう。
公然教唆とは、文書又は電子的マスメディアを通じて、国民的、人種的、宗教的不調和、国民の名誉と尊厳の損壊、人権の直接又は間接的制限を唆すことである。
過激活動と闘う法律第六条は、過激活動を行う目的を持った団体の設立を違法としている。司法大臣は検事総長に過激活動団体への警告を要請することが出来る。警告を受けた団体は不服があれば裁判所に提訴することができる。法律第七条は、マスメディアを通じた過激文書の流布を禁止している。検事総長は過激文書流布に警告を与えることができる。不服があれば裁判所に提訴できる。法律第八条は、過激活動のために公共テレヴィ放送を利用することを禁止している。法律第九条は、過激文書の出版と流布を禁止している。過激文書か否かは裁判所が認定する。団体が一二か月の間に二回過激文書を流布すれば、裁判所は当該団体の出版権を終結させることができる。法律第一〇条は、過激文書の記録を作成・保管するとしている。法律第一二条は、外国人が過激活動を行った場合を定め、一定の権利の停止が認められることがある。法律第一三条は、集会における過激活動を禁止している。大衆集会の組織者は集会法に基づいて過激活動をさせないようにしなければならない。法律の適用事例は紹介されていない。
人種差別撤廃委員会はモルドヴァ政府に次のように勧告した(CERD/C/MDV/CO/7. 16 May 2008)。過激活動と闘う法律があるが、人種的、国民的及び宗教的憎悪を含む過激活動をする組織が実際に違法と宣言されず、捜査事例が報告されていないことに留意する。委員会は法律を条約第紙上に完全に合致させて適用するよう勧告した。委員会は警察官、検察官、裁判官その他の法執行官に人種的憎悪や差別に関する研修を義務付けるべきだと勧告した。次回の報告書では、法律適用状況、捜査や犯行者に課された制裁、被害者への補償について報告するよう要請した。