Saturday, March 08, 2014

マルティニ美術館散歩

スイス南西部ヴァレー州のマルティニの美術館は、正式にはピエール・ジアナダ財団という。モンブランのシャモニーへの鉄道駅でもあるマルティニ駅前通りを10分余り歩いて行ける距離にある。美術館の裏にローマ時代の闘技場がある。スイス南西部はローマ帝国領だったからだ。闘技場は発掘、復元されて、時に演奏会などに使われているようだ。他には山の中腹に小さな城があるくらいで、盆地の小さなこの町にあまり見るものはない。                                                                                   しかし、美術館は有名だ。3年ほど前にモネ展、その数年前にロダン展を見た。それまでもピカソ展、クレー展、シャガール展といった具合に、順次、企画展を開いて、有名アーティストの代表作をそろえて見せてくれる。その意味では日本の美術館と似ているかもしれない。普段は一度に見られない西欧美術の代表アーティストの企画展を順次開催するので、毎年ここに足を運べばいいのだ。実際、スイス各地の鉄道駅には「マルティニ往復券」の案内が置いてある。鉄道往復と美術館の入場料がセットで割引になっている。子どもを連れて行く家族向けの料金設定になっている。                                                                                                                                                              今回は大英博物館の協力による「古代ギリシアにおける身体の美」という展示だった。ジュネーヴ市内にも案内ポスターが貼ってあって、円盤投げの彫刻Discoboleが使われている。紀元5世紀にギリシアで制作されたブロンズ像をもとに、紀元2世紀にローマで制作された大理石像である。もとのブロンズ像は失われたという。これが展示会場の中央に置かれていた。他にディオニュソス、アポロン、ヘラクレス、アフロディーテなど多数の大理石像がメインだった。壺、花瓶、大皿も多数展示されていたが、「身体の美」がテーマだけあって、壺の装飾絵柄の多くは人間が登場する。カタログには「誕生、結婚、死」というタイトルでまとめてある。全体としてなかなか見どころがあったが、ブロンズのゼウス像が良かった。10数センチの小品だ。オリンポスには13メートルの巨大像があったという解説が付されていた。紀元1~2世紀のものだが、なぜか今のハンガリーの地域からのものという。                                                                                                            美術館の庭は彫刻庭園となっている。ロダン、マイヨールから、ニキ・ド・サンファル、マックス・ビルまで、40を超える彫刻が置かれて、散策コースになっている。また、地下にはなぜかクラシックカー博物館があるので、ついでに見てきた。また、今年の夏はルノワール展のようだ。