Tuesday, May 06, 2014

ヘイト・クライム禁止法(74)フィンランド

フィンランド政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/FIN/20-22. 14 February 2012)によると、前回審査の結果、委員会がフィンランド政府に対して、インターネット上のレイシズムに関する勧告を出した。フィンランド警察はインターネット監視を行い、そのための予算を増加している。インターネット上の移民批判やヘイト・スピーチは増加しているので、監視を続けている。監視強化の主要部分は、公衆にインターネット上の犯罪について積極的に教育することである。二〇一〇年三月以後、レイシスト文書をチェックする体制ができた。二〇一〇年、警察が受け取ったレイシズム通報は一〇二八件であり、そのうち二二は対処することになった。通報の大半はオンライン討論サイトでの中傷事案であったが、訴追できる犯罪ではなく、傷つけられた当事者は相手を特定できていない。不寛容の表現がすべて犯罪の要件を満たすわけではない。警察は、犯罪があると思料した場合に捜査に着手する。                                                                          教育文化省は、フィンランドの子どもを守るノー・レイシズムという長期計画を支援している。この計画は若者にレイシズムについて理解させ、レイシズムを特定し、それに対処することを理解させる計画である。                                                             フィンランドは、コンピュータを通じて行われる人種主義と外国人嫌悪行為を犯罪化するための欧州評議会サイバー犯罪条約追加議定書を批准した。                                                                         人種主義や差別文書に関する包括的立法として二〇一一年刑法改正がなされ、人種主義者やその他のヘイト・スピーチに介入する手立てを確保するものである。民族煽動に関する刑罰規定が追加され、情報技術を通じて流布されるヘイト・スピーチに対処している。さらに、刑罰加重事由として、すべての犯罪について、人種主義的動機のみならず、障害をもった人や性的マイノリテチィに対する憎悪のあった事件での刑罰加重を可能とした。 人種差別撤廃条約第四条に関する法規定は、刑法第六章の量刑規定、刑法第一一章の人道に対する罪(民族煽動、加重民族煽動、法人の刑事責任)、刑法第一七章の公共秩序に対する犯罪(犯罪組織活動への参加)、刑法第二四章(プライヴァシー、公共の平穏、人の名誉に対する犯罪)、刑法第二五章(人身の自由に対する犯罪)がある。                                                                                      人種差別撤廃委員会がフィンランド政府に対して出した勧告(CERD/C/FIN/CO/20-22. 23 October 2012)によると、委員会は、フィンランドがインターネット上のヘイト・スピーチに対処するため刑法改正を行ったことに留意するが、フィンランドにおいてインターネット上のヘイト・スピーチが続いていることに関心を有する。委員会は、インターネット上の人種憎悪と人種差別の煽動にと闘う努力を強化するため、ヘイト・スピーチに関するデータを効果的に収集し、若者、メディア、政治家に意識を持たせるキャンペーンを行うよう勧告した。