32歳で急逝した歌人、萩原慎一郎が「非正規という受け入れがたき現状を受け入れながら生きているのだ」と歌った。彼は「箱詰めの社会の底で潰された蜜柑のごとき若者がいる」とも歌ったが、非正規があたり前のようになっているこの社会の異常さは、格差拡大や、沖縄への軍事基地の押しつけや、歯止めなき環境破壊となって噴出している。なしくずしの改憲への動きもその一つである。
日本国憲法には理念があり思想がある。
「戦争はすべてを失わせる。戦争で得たものは憲法だけだ」と城山三郎は言った。
非正規社会からの脱却をめざす革新勢力の結集の軸に私たちは憲法の理念の実現を据える。それをあいまいにして結集しても、腐敗した保守勢力(公明党、維新を含む)に傾斜するだけである。
原爆を落とした加害者のアメリカに追随し、被害者となった中国を敵視するのでは、憲法に基づく平和外交を展開できない。どんなに困難であっても、アメリカと中国双方に等距離の位置から、できるだけ、国家の水位を低くする努力を積み重ねる必要がある。
そして喫緊の課題の脱原発である。主にこの三つの立場を明らかにして、新たなるプラットフォームを形成したい。
社会民主党は「革新勢力」が「分裂や対立を繰り返してきた」ことを反省し、「新社会党や緑の党をはじめ、基本政策が一致する多くの政党・政治団体・市民団体と日本を変えるためにネットワークを強化する」と表明したが、それを実現するために新たなるムーブメントを起こしたい。
端的に言えば、いのちの安全保障確立へ向けて非正規社会からの脱却をめざす運動を起こすということである。
2021年7月
起草 発起人を代表して 佐高 信
「共同テーブル」発起人
浅井基文(元広島平和研究所所長・政治学者)
雨宮処凛(作家・活動家)
伊藤 誠(経済学者)
植野妙実子(中央大学教授・憲法学)
上原公子(元国立市長)
大内秀明(東北大学名誉教授)
海渡雄一(弁護士)
鎌田 慧(ルポライター)
金城 実(彫刻家)
纐纈 厚(山口大名誉教授・歴史学者)
古今亭菊千代(落語家)
佐高 信(評論家)
清水雅彦(日体大教授・憲法学)
白石 孝(NPO法人官製ワーキングプア研究会理事長)
杉浦ひとみ(弁護士)
竹信三恵子(和光大学名誉教授)
田中優子(前法政大学総長)
前田哲男(軍事ジャーナリスト)
前田 朗(東京造形大学名誉教授・人権法)
宮子あずさ(随筆家)
室井佑月(小説家・タレント)