Wednesday, August 25, 2021

「共同テーブル」発起人のメッセージ

8.28「共同テーブル」シンポジウム「いのちの安全保障を考える―共同テーブルからの提案」は、リアル開催を予定して準備したが、オンライン開催に変更した。

https://maeda-akira.blogspot.com/2021/08/828.html

参加申込先は、E-mail: e43k12y@yahoo.co.jp

 

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共同テーブルへの意見

杉浦ひとみ

現在、日本の政治は危機的な状況にある。国内ではコロナ禍に国民の命が顧みられないことが明白になった。世界に向けては他国民を殺傷する武力行使に積極的に関わる意思表明をしている。それでも市民は、日本は先進国であり、平和を尊重する国だから、そんな無茶はしないだろう、私たちは豊かな国の国民として国際社会でも伍していけるだろう高をくくっている。この根拠のない正常性バイアスをまずは打ち捨て、現実を直視し共有したい。その上で、何を大切にするのかを確認したい。それは一人一人の平等な命と安全の保障であり、それ以外の何ものでもないことを愚直に確認したい。バブル崩壊後の世代は、夢や希望も持てず、格差が当然の社会に育ち、平等感も自己肯定感も持てないまま、民意による自己復元力(民主主義)も信じられないが、まず自分が幸せに生きるイメージを持とう。例えば砂漠に水を引き緑を育て、食べることができ、子どもたちが学び、治安を得る。そんな幸せを提示した中村哲さんの行動を胸に描きたい。そして私たちは、完璧な政党を探して、見つけられずに政治に絶望するのでなく、自分たちで目指す勢力を創り上げるために努力をしなければいけないと思う。

 

「共同テーブル」への意見         

海渡雄一

次の選挙で野党の統一を図ることも重要ですが、そもそも今の国会では、直近の重要土地規制法が成立してしまったように、見落としてはいけない様々な人権課題が、数だけの「民主主義」で通ってしまう状況になっています。秘密保護法も共謀罪法も、安保法制も全てそうでした。そして、これらの法律は社会の根底に大きな影響を与え、人権を掘り崩していくものです。これを支持しない市民は大勢いるはずです。しかしながら、多くの市民の声は、今の既成の野党政党によって代弁されているとはいえません。

既成の野党だけでは拾い切れていない多くの市民の声とつながりを持ってきた者が集まり、市民の声を繋ぎ合わせて大きな力にするために、「共同テーブル」というプラットホーム(「共通の土台(基盤)となる環境」)を立ち上げました。この場を活用し、多くの市民の声を政治に生かして行きましょう。

 

発想転換の一大契機として 

纐纈厚(明治大学国際武器移転史研究所客員研究員)

コロナパンデミックは、戦後日本国家や政治の限界を露呈する契機となりました。そこでは何よりも安全保障概念の再検証を促しています。軍事的安全保障ではなく、国民の生命と健康を第一とする人間的安全保障、自然との共生や安定した労働を確保する生活安全保障を優先する発想への転換が迫られています。取り分け、日米軍事同盟は、抑止を口実としながら軍事力で国際社会の枠組みを形成しようとする時代遅れの政治スステム。ウイルス感染や地球温暖化など、軍事力では救えないものが数多存在することへの気付きが必要です。

国際社会にあっては、政治体制やイデオロギーの差異を超えて、国家や国境の束縛から解放された国際社会の築きが求められています。宣言文の「国家の水位を低くする」とは、その意味が込められていると思います。一国主義的要素の強かった護憲運動も、そうした国際社会の枠組み創りに資するものである限り、これまで不充分であった国際性が担保されるはず。憲法に盛られた信頼醸成の方途を探ることこそ、護憲の最大目的ではないでしようか。

いま国際社会では形こそ違え、様々なファシズムの潮流が運動や体制として勢いを得ています。強き者や豊かなる者が世界を動かす現実は、貧困・抑圧・差別を一層強めていくことになります。こうした現実を変えていくためには、人間差別を解消する平等主義、貧困格差を是正する社会主義、国家主義や全体主義を否定する民主主義、これらを接合する骨太の自由主義への思いを共有することです。このことを、取り分け未来を担う青年たちの思いに繋げていきたい。

 そうした思いを抱く人々が同じテーブルに集い、その実現のために知恵を絞り合い、政治の場で如何に活かしていくのか。共同テーブルとは、そのための実践的な活動方針を紡ぎ出す運動体と定義すべきに思います。以下、私が考えている掲げるべきスローガンの一例を挙げておきます。

一、非同盟政策が貫かれた国際社会の構築

一、軍事的安全保障から人間的安全保障への転換

一、国際連帯を促す護憲運動の展開

一、差別的労働現場から安定的労働現場の創出

 

 

「共同テーブル」活動に関して           

鎌倉孝夫

この活動は、基本的人権と平和確立が基本課題であること。この課題確立をめざす運動を活性化するために不可欠と思われる事項を記しておきます。

1.    平和を損なう、戦争の危機をもたらす動きが台頭し、強まっている。なぜいま戦争の危機が生じるのかを、認識しなければならない。直接には中国と米国(政府)との対立―とくに台湾問題を契機とする戦争の危機が生じている。この戦争の危機の原因を明確にすること。米政府の意図―日本の侵略の戦力増強の要求を明確化すること。

2.    日常的生活と労働(仕事)の中での、平和的人間関係、基本的人権確立を。エッセンシャルワークの確認、その場での労働者の協力共同の確立を。

3.    国際的平和確立を図る各国労働者・勤労者の共同・連帯形成。インターナショナルな労働者・勤労者の運動とあらためての活性化。

 

共同テーブルへのメッセージ

植野妙実子(中央大学名誉教授)

今の政治に圧倒的に欠けているもの、それは「憲法に基づく政治」だと思います。

憲法は国家の基本法です。日本国憲法は、平和主義、個人の尊重、生存権を含む基本的人権の保障、権力分立など国の守るべき基本を定めています。しかし、実際の今の政治は、この決定はどこからきたのか、憲法にあるのか、憲法に基づく法律にあるのか、疑問に思うようなことが続いています。時には国民を裏切る、あるいは国民を棄てる、と思わせるような政治さえ行われています。

今一度、憲法の精神、原則に立ち返り、不透明なごまかしの政治をやめさせ、真に国民に寄り添う、国民のための政治を求めます。

 

共同テーブルへのメッセージ

(「私は共同テーブルをこうしたい」という視点から)

看護師・ライター 宮子あずさ

共同テーブルが脱却を目指す「非正規社会」は、働く者の権利はおろか、基本的人権さえも否定される社会。そこでは、社会によってもたらされる不幸も自己責任とされ、わずかな公的支援すら恩恵とみなされ、求めることさえはばかられる空気が作られています。ここから脱却する手がかりは、日本国憲法であり、それがわかるからこそ、「非正規社会」の分断や差別から恩恵を受ける為政者は、素早い改憲を求めているのではないでしょうか。

今私たちは、新型コロナウイルスによる感染爆発に直面し、医療の逼迫から、助かる命も助けられなくなる、危機の瀬戸際にいます。これも、効果効率を重視した医療の切り捨てがベースにあり、根本は、人々の生きる権利の軽視にほかなりません。私たちは、生きることさえ、条件付きでしか認められない、非正規のいのちを生かされていると感じます。

この現状を変えるため、日本国憲法の理念に基づく、裾野の広いリベラル勢力の結集が必要です。すでに野党共闘をめぐる動きは、いくつか起こり、実績も上げています。私がここに参加する上では、すでにある野党共闘へのリスペクトを忘れず、互いの違いも求め合った上での連携を求めたいと考えています。

そしてまずは「非正規社会」を推し進める改憲勢力の多数派維持を阻止。その上で、願わくば、政権交代可能なリベラル勢力の結集を求めたいと思います。

 

 

田中優子よりの意見

 佐高信さんが起草して下さった「宣言」は素晴らしく、足すところも引くところもありません。私も改憲阻止と憲法の理念の実現を中心に据えたいと思います。

 共同テーブルは、改憲阻止をしながら憲法の理念を実現する政治家が活躍できるよう支援をする組織だと思います。選挙運動だけでなく当選した後の支援も必要で、そうでなければ立候補者がなかなか出て来ないでしょう。

憲法の理念の実現の第一は、アメリカと中国への等距離外交によって戦争を回避する方向性を明確にし、沖縄の米軍基地の撤退と離島の自衛隊基地の縮小をはかっていくことです。

憲法の理念の実現の第二はいのちの安全保障です。その当面の課題は非正規問題ですが、同一労働同一賃金がすでに始まっていて不合理な待遇格差は禁止され、待遇差は説明が義務づけられています。それでも休業手当が支払われず不当解雇され、女性の非正規率も多いのです。もう法律の問題ではなく社会全体が取り組むべき問題で、非正規雇用者が声を上げ説明を求めて現実に待遇が改善されていく行動を促す政治家や運動体が必要です。

共同テーブルは以上のことを軸にして、このテーブルを囲む党と立候補者を積極的に説得的に結びつける仕組みであり、運動体だと考えます。

 

 

「共同テーブル」のためのメッセージ

前田 朗(東京造形大学名誉教授)

 新型コロナと地球環境変動。民族、宗教、地域の武力紛争。人種・民族差別、性差別。難民、移住者、先住民族、外国人に対する差別と抑圧。新科学技術による新しい重大人権侵害――世界は矛盾に満ちている。難題が溢れている。

ここから希望を紡ぎ出すために飽くなき闘いを続けている人々がいる。

 日本も同じだ、と思いたい。

身分差別と外国人差別を冒頭に掲げた憲法。その憲法の平和主義を無視して軍国主義への道を歩む政権。外国人差別だけでは飽き足らず、国民切り捨て政策に邁進する政権。民主主義を葬り去る政権。翼賛するメディア――日本も矛盾に満ちている。難題が山積みだ。

それでも、いのちを諦めない人々がいる。平和を手繰り寄せようと模索する人々がいる。棄民政策にNO!と拳を突き上げる人々がいる。尊厳をかけて連帯する人々がいる。耳を澄まし、目を凝らし、自分の頭で考えようとする人々がいる。

日々の暮らしといのちという、ささやかな願いを足蹴にする政治を終わらせ、小さきものの視線から世界を見晴るかす政治をつくり出したい。