Friday, August 11, 2017

ヘイト・クライム禁止法(131)タジキスタン

レマン湖畔の国連人権高等弁務官事務所パレ・ウィルソンの会議室で、人種差別撤廃委員会CERD93会期が開かれている。今回の審査対象は、クウェート、ロシア、アラブ首長国連邦、エクアドル、ジブチ、タジキスタン、カナダ、ニュージーランド。8月4日のロシア審査の公判を傍聴したが、今週は人権理事会諮問委員会に通っていた。昨日10日午後にタジキスタン審査の前半を傍聴した。
タジキスタン政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/TJK/9-11. 21 March 2016)によると、憲法17条は、民族性、人種、ジェンダー、言語、信仰、政治的意見、教育、社会的地位又は財産にかかわらず、権利と自由を保障される。男女は平等の権利を有する。
市民訴願法16条によると、中傷や侮辱を含む主張や、民族、人種、地域的敵意や宗教的敵意を煽動しようとする主張を行えば、法に従って訴追されることがあるとされる。
情報法37条によると、人種、民族、地方、宗教的又は言語的不和や戦争を助長する目的で、憲法秩序、国家の安全、サイバー安全を損ない、若しくは、暴力、テロリスト、過激活動、人に対する犯罪又は市民の権利侵害を唱道する情報を助長することは禁止されている。
安全法第6条は、社会、人種、民族、宗教、地方及び集団的敵意又は不和を助長することを含む、政治的過激主義を定義している。
任意団体法第15条は、人種、民族、社会又は宗教的敵意を唱道する任意団体、憲法秩序の暴力的破壊又は武装集団の結成を呼び掛ける任意団体の設立を禁止している。
その他、難民法、反テロリズム法、外国人の法的地位法、行政犯罪法、家族法にも差別禁止規定がある。
刑法第143条によると、ジェンダー、人種、民族、言語、社会的出身、個人的地位、財産、公務員であること、居住地、宗教、信仰、政党の党員であること、任意団体の構成員であることを理由に、市民の権利を故意により直接または間接的に侵害又は制約することに刑罰を科している。