Friday, January 25, 2019

ヘイト・スピーチ研究文献(119)インターネット上の部落差別


『月刊Human Rights370号(2019年)

特集 インターネットと部落差別

「ネット時代の部落差別――その実態と必要な対策とは 「荻上チキ・Session-22」より」

「インターネット上の部落差別を解決するために」松村元樹


松村論文22頁掲載の「インターネット上の差別への対抗図」(柴原浩嗣さん作成)は、差別を「情報発信・ネットワーク」「防止・規制」「実態把握・削除」「教育・啓発」の四つの側面から考察し、実践に活用できるように工夫されている。そのうえで、松村論文は次のような構成。

課題克服のための政策

(1)  差別行為を規制する法律を求める

(2)  ネット上野部落差別をモニタリングする組織の拡充

(3)  AIなどの技術を活用した対策

(4)  ネット上野差別行為の規制や解決に向けた事業者の取り組み

(5)  反差別・人権意識の醸成を図る教育・啓発の充実

(6)  ネットを使った部落差別解決のための情報発信

(7)  相談体制等の充実


「ネット上の部落差別に関するモニタリングの取り組みについては、多少の前後はあるが、二〇〇〇年頃から個人や組織が取り組みをスタートさせている。取り組みの基本形態は、定期または随時で、ネット上で部落差別が行われるサイトをモニタリング、発見した差別投稿を保存し、どのような差別に該当するかを分類した上で件数をカウントしている。発見方法としては、例えば、『部落、同和、エタ、穢多、ヒニン、非人』などのワードを用いて、GoogleYahooなどの検索エンジンや各サイト内(例えば、5ちゃんねる掲示板、Yahoo!ニュースへのコメント、Yahoo!知恵袋、爆サイ、YouTube、ツイッター等)での検索を行い、事例を把握、収集している。削除要請や依頼、通報については、民間組織や個人は独自に、行政機関であれば法務局を通じて削除要請を行っていることが多い。」

「バナー広告やアフィリエイト広告を、差別を助長・誘発・扇動するようなサイトから撤退させていく取り組みも必要となる。大手企業が自覚なしに差別を助長・扇動するサイトに広告を出していたが、一人の要請によって大手企業は広告を撤退し、大手アフィリエイト企業も撤退することになった・企業にはCSRが求められ、コンプライアンスを遵守することが求められている。認識しているかどうかは関係なく、結果として差別を容認し、加担していることは問題であり、その事実を企業や団体に申し入れる取り組みも求められる。」