Thursday, January 12, 2023

ジェンダー迫害の罪05

国際刑事裁判所の検事局『ジェンダー迫害の罪に関する政策』を簡潔に紹介する。

要素3:その標的(の選択)は、国際刑事裁判所規程73項に定義されたジェンダーに基づいていた。

ジェンダー迫害の主観的要素は、次の通り。実行犯は、

・基本権の著しい剥奪をもたらそうとし、通常であればその剥奪が生じることを知っていた。

・差別する特別の意図を有していた。

・実行行為が、広範又は組織的な攻撃の一部であることを知っていた、若しくは、広範又は組織的な攻撃の一部となることを意図した。

被告人が国際刑事裁判所規程253項(a)の下で直接の実行犯、共犯、間接実行犯として訴追されない場合、被告人に特別な差別意図があったことが証明される必要はない。しかし、その他の責任形式についての心理的要素は証明を要する。

「動機」及び「意図」の概念は混同してはならない。犯罪実行の動機は、犯罪実行の意図と同じではない。実行犯が欲望ゆえに窃盗をした事実は重要ではない。問題は単純に実行犯が盗みを行うことを意図したか否かである。

基礎になる行為を実行する意図に加えて、ジェンダー迫害について差別的意図が必要であり、証明を要する。個人的動機が差別意図と混同されてはならない。個人的な強姦する動機には、「性的喜び」や強姦する機会が含まれる。この動機は差別意図とは異なる。個人的動機はジェンダーを理由として実行犯が行為を決定することと混同してはならない。差別する意図は、実行犯が、標的とされた集団やその構成員を不平等に扱うことを特に意図した場合に示される。

差別意図は、ジェンダーに基づいてある集団に迫害行為を行う際に証明されうる。実行犯が、ジェンダーを理由に女性も男性も別々に強姦する場合がありうる。実行犯が、女性と少女を「堂さん」や「戦利品」と考えて女性や少女を強姦するかもしれない。同時に実行犯が男性と少年を「女性化する」戦略で、女性のごとく扱うために強姦することもある。

差別意図の証明には、実際に偏見や予断を有していたことは必要ない。実行犯がジェンダーに基づいて行為したことを示せば足りる。実行犯は、女性と少女を奴隷化したり、強制結婚する迫害行為を自分の「権利」と考える場合があり、個人的に偏見を有していたり、被害者を処罰しようとしたわけではないこともある。しかし、この行為はジェンダーに基づいている。

実行犯は、複合的又は交差的な理由から迫害行為を行うことがある。ジェンダー迫害は、政治、人種、国民、民族、文化、宗教その他の理由の迫害といった複合的な形態と交差する。

要素4:実行行為が、国際刑事裁判所規程71項で言及された行為、又は国際刑事裁判所の管轄権の範囲内にあるいずれかの行為と結びついて、行われた。

ジェンダー迫害は、国際刑事裁判所規程71項で言及された行為、又は国際刑事裁判所の管轄権の範囲内にあるいずれかの行為と結びついて行われるとする。ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪、及び侵略の罪である。

ジェンダー迫害は、その他の身体傷害や財産に対する攻撃と結びつきうる。標的とされた集団にとって重要な、歴史、文化、宗教、経済、毛王育、社会センターその他の集会場所、礼拝所、アーカイブ等。これらの破壊がジェンダー迫害にあたることもある。

要素5:実行行為が、文民たる住民に対する広範又は組織的な攻撃の一部として行われた。

要素6:実行犯が、実行行為が文民たる住民に対する広範又は組織的な攻撃の一部であったことを知っていた。

文民たる住民に対する広範又は組織的な攻撃の一部であれば、迫害行為が広範又は組織的であったことの証明を要しない。攻撃の間に迫害行為が反復されたことを要しない。ジェンダー迫害の認定にとって、ジェンダーに基づく犯罪を行う政策や計画があったことの証明を要しない。文民たる住民に対する広範又は組織的な攻撃穴されたことを証明すれば足りる。

攻撃が広範な性格を有したと評価するには、ジェンダー迫害が、共同体や人道に全体として害悪を引き起こすように、多様な被害者をつくりだす事実を考慮する。