Wednesday, August 01, 2012

ドイツの脱原発の苦悩をえがく

グランサコネ通信120801

Gran-Sacconex News. 1 Aug. 2012



昨夜、ジュネーヴにやってきた。今年は勤務先の年間スケジュールが変更になって、7月30日まで授業だったため夏バテ状態。暑いのに、節電もあり、つい冷たい飲み物が増える。その繰り返しだった。



今朝のジュネーヴは24度、快晴で乾燥しているのでとても過ごしやすい、快適さ。



❉熊谷徹『脱原発を決めたドイツの挑戦――再生可能エネルギー大国への道』(角川SSC新書、2012年)



ルフトハンザ機内で読んだ1冊。3.11以後に脱原発を決めたドイル・メルケル政権の転換はいったい何だったのか。



それ以前から緑の党の主張によりドイツは脱原発に向かっていたが、財界の反対もあって揺れ動いていた。いったんは決めた脱原発が期限延期になったりしてきた。



しかし、3.11以後、メルケル政権が「転向」して、2022年までの脱原発を決定した。そのことは、日本にもよく知られているが、そこに至る経過をわかりやすく丁寧に書いている。3.11の衝撃の大きさは言うまでもないが、それとともに、EUにおる自由化の圧力も重要な要因だったという。



そして、脱原発だけではなく、脱化石燃料も含めた、環境問題、CO2問題など、より幅広いエネルギー問題の全体を見ることで、ドイツの動きがよくわかる。と同時に、太陽光発電が迎えている困難、風力発電への期待、全国的な送電網の緊急の必要性など、ドイツもさまざまな問題を抱えていることも具体的に示されている。



著者は元NHK勤務で、90年からミュンヘン在住のフリージャーナリスト、エネルギー・環境問題は得意分野のようだ。