Wednesday, October 10, 2012

とんでもない変わり者が10人は必要だ


郷原信郎『特捜神話の終焉』(飛鳥新社、2010年)


 

郷原本まとめ読みの最後。

 

<知られざる特捜検察の世界を語り尽す!!

 

序章  検察問題を基本的に理解するために
1章 ライブドア事件――誤解され続けた真相/対談・堀江貴文
2章 キャッツ事件――会計を理解できない検察と司法/対談・細野祐二
3章 検察擁護論を必要とする時代の到来/対談・佐藤 優
4章 検察再生のために

 

<元検事・郷原信郎と堀江貴文、細野祐二、佐藤優が対談!!
ライブドア事件、キャッツ事件、外務省背任事件の真相から、小沢一郎・陸山会の政治献金事件、2000年代特捜検察の惨状、政権vs検察まで、検察の正体を撃つ対談集
くすぶり続ける検察問題を読み解く決定版!!
対談ゲスト
堀江貴文(元ライブドア社長)/2006年、ライブドア事件で東京地検特捜部に逮捕。誤解され続ける事件の真相を解明する(現在、最高裁で係争中)。
細野祐二(公認会計士)/2004年、キャッツ事件に関連して東京地検特捜部に逮捕。2010年、最高裁で上告棄却、有罪判決が確定。
佐藤優(作家・元外務省主任分析官)/2002年、外務省背任事件で東京地検特捜部に逮捕。2009年、最高裁で上告棄却、有罪判決が確定。>

2012年の『検察崩壊――失われた正義』と同じコンセプトで、2010年7月に本書が出されている。前者では、小川敏夫前法務大臣、石川知裕衆院議員、大坪弘道元特捜部長、八木啓代と対談しているが、本書では、堀江貴文、細野祐二、佐藤優の3人と対談している。関心の所在は同じであり、特捜部に典型的な日本検察の「神話」の「終焉」、「検察崩壊」の現状を明らかにし、その原因を探る。

「伝統的な刑事司法においては、『検察の正義』中心の狭い閉じた検察の世界を維持し『天動説』的な考え方をとることもできた。しかし、刑事司法がさまざまな分野の違法行為に対する罰則適用に拡大するにつれて、検察も社会に対して開かれた組織になることが求められる。そこでの考え方も、価値観の相対性を認める『地動説』的なものに変わっていかなければならない。そして、そのような方向への転換が最も強く求められるのが、社会的、経済的に大きな影響を及ぼす捜査を行うことを使命としている特捜検察なのである。」

著者のこの提案が受け入れられることはなかった。それどころか、大阪地検特捜部と東京地検特捜部が競い合うかのように「犯罪者集団」に転落していった。その結果、『検察崩壊』が出版されることになった。

「私のように検察OBで、検察批判をするのは、とんでもない変わり者だと言われてしまう(笑)。」

とんでもない変わり者が10人は必要だ。