Sunday, September 11, 2022

安倍国葬差止請求訴訟・却下判決に対する抗議声明

8月9日、私たちは安倍国葬差止請求訴訟を東京地裁に提起した。91日には第2次提訴を行った。第1次・第2次提訴の原告は650名を超えた。

9月9日、東京地裁は、差止請求及び仮差止請求をまとめて却下した。差止請求については却下の判決、仮差止請求については却下の決定である。なお、損害賠償請求については分離されて、継続審議となる。

本日、私たちは霞ヶ関の裁判所・司法記者クラブで記者会見を開いた。「抗議声明」を下記に貼り付ける。

 

記者会見で、私は次のような発言をした。

(1)立憲主義の基本が全く理解されていない。憲法も法律も無視して閣議で何でもできるという無謀を止めるべき。

(2)国葬には反対。将来、政治家を除外して、例えば野球の長嶋茂雄のような人物が他界した際に「国民葬」をすることができるようにしてはどうか。

(3)安倍国葬で弔問外交ができるなどと期待できない。本物の弔問外交はエリザベス女王の国葬に際して、来週ロンドンで行われる。再来週は国連総会が始まるので、本来の外交がニューヨークで行われる。東京で行われるのはインチキ弔問外交に過ぎない。 

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 2022年9月9日

 

          抗   議   声   明

 

  岸田内閣が、法令をも無視して、政治的考慮から拙速一方的に決定した、故安倍晋三元総理大臣の国葬に対する全国的な反対の声は、日を追って広がり、激しくなってきている。各メディアの調査によっても、反対の声は賛成の声を大きく上回っている。これに対して、政府は、「半旗・弔意表明は求めない」などと、一部表面的には譲った風を見せながらも、しかし他方では「国民の全員が反対しても、内閣が決めれば出来る」などと、居直りの姿勢を公然と表明するに至っている。

  そして、財政民主主義違背が明白であり、最初から危惧されていた投入国費の金額も、2億円から2・5億円に、更には16・6億円にとうなぎ上りに高額している。政府は金額について何とか隠蔽しようとしているが、膨大な費用の必要が明かな警備費用等については、何十億とも言われており、要人警護の実例一つを見ても、16・6億円でさえ、それで収まるとは誰も信じていない。現に、利権にまみれたオリンピック開催費用の例は我々の眼前にある。

2 もはや岸田首相の「聞く力」など、国民の誰も信用しない。岸田首相の「聞く力」とは、国民各界・階層の人民の切実な声・希望・要求なのではなく、実際は、いまだに旧統一教会との癒着を隠蔽し、維持しようとしている自民党の右派派閥・政治家の声に対してのみのものであることが、誰の目にも歴然としてきている。

  国民主権・国会の権威・財政民主主義の全てに違背しつつ強行されようとしている今回の国葬は、完全な憲法違反であり、早急に中止が実現されなければならない。

  このような情況に於いて我々は、政府の違憲違法の国葬方針に対して、二次に亘って、行政事件訴訟法に基づき、差止めの本請求と仮差止申立の2箇の訴訟を提起し闘って来た。我々の提訴の内容・証拠からして、政府の国葬方針の違憲違法性は明白であり、早期に仮差止が認められるべきであった。

 しかるに東京地裁民事51部は、9月9日付で、我々原告団・弁護団の要求にもかかわらず、一度の審尋手続をも開催することなく、仮差止申立事件を却下し去るという、違憲違法の暴挙を行った。また、差止請求訴訟をも却下し去った。我々は、政府に対する忖度をのみこととする、このような、「憲法の番人」などとは到底呼べない裁判所に対して、満腔の怒りを以て強く抗議する。

4 それと共に、あくまで法律闘争の貫徹を宣言すると共に、裁判のみならず、国会・首相官邸前を始めとして、「国葬反対!」を高く掲げ、「国葬中止!」を求めて全ゆる場で闘われている多数の国民各位と、固く連帯して進んでゆくことを、改めて宣言する。(なお、上記却下にもかかわらず、国家賠償請求訴訟は粘り強く継続してゆくが、この訴訟については原告の第三次の募集も準備中である。)

 

安倍晋三元首相の国葬を許さない会

故安倍晋三元首相の国葬差止訴訟原告団

故安倍晋三元首相の国葬差止訴訟弁護団