Sunday, March 04, 2018

権力の暴走を止めるために


望月衣塑子・森ゆうこ『追及力』(光文社新書)


<国家レベルの不正が疑われる森友・加計問題で、政府への厳しい質疑が注目を集める新聞記者と野党議員による緊急対談。一連の問題の焦点は首相が便宜を図ったか否か。まさに民主主義の根幹を揺るがす大疑獄だ。ところが当初、政府・与党側の否認のみならず、仲間内からも「そんな小さな問題に」という反発の声が上がった。それでも二人が問題の本質を見抜き、自らの信念を貫けたのはなぜか? 一強多弱で権力の暴走を許してしまっている今、ジャーナリズムと野党の存在意義を問い直す。>


息を吐くように嘘をつく安倍政権の無法な暴走が止まらない。どんなに証拠があっても、ない、問題ない、と言いつのる。都合の悪い証拠は隠す、処分する。隠しきれずに出てきてもシラを切る。常に嘘をつく準備だけは万全の首相と官房長官。嘘をつくのは自民党政治の常識だが、それにしても安倍政権ほどひどい事例はなかった。そして、もう一つの特徴が「お友だち優遇政治」。利権を回し、税金を盗み、私物化する。これまた、いつものことだが。そして、無法な暴走に加担しているのがマスコミであることも何度も指摘されてきた。一部のマスコミはそれなりに努力しているとはいえ、全体としてはみごとに翼賛体制ができあがっている。

そうした中、記者会見における鋭い質問で話題となった東京新聞記者の望月衣塑子と、森友・加計問題の国会質問で活躍した森ゆうこ。この2人の女性の対談である。なぜ鋭い質問ができるのか。そのパッション、その準備、その戦術が明かされる。若い時期に演劇や合唱に打ち込んだことが、腹式呼吸による大きな通る声を可能にしたことなど、面白エピソードも披露される。本のつくりとしてはやっつけ仕事で、各所にかなりの重複があるが、対談なのでやむをえないか。