Monday, March 19, 2018

UPR日本結果文書採択に際して福島からアピール


19日の国連人権理事会は、16日のスケジュールがそのまま移動した。朝の内に人種差別撤廃デー記念のシンポジウムを行った。続いて、普遍的定期審査(UPR)で、ベニン、パキスタン、ザンビア、日本、ウクライナ、スリランカの順。午後2時前後に日本の番だった。

UPR本審査は昨年11月に行われ、その結果、多数の諸国から日本に改善勧告が出された。これを受けて、3月1日に日本政府は、勧告を受け入れるものと、受け入れないものに分けて回答した。多くの国が、受け入れるか拒否するか、を回答する。日本の回答は、前向きに検討するといったタイプで、実際は拒否だ。今回は、日本政府が発表した結果を報告し、これを人権理事会本会議で採択する手続きであり、要するにセレモニーだ。ただ、そのセレモニーの中でも、NGOに発言の機会が与えられるので、どの国の手続きにも、NGOが参加して発言する。発言の内容は、主に、その政府が拒否した勧告についてのコメント、あるいは、昨年11月以後の出来事を取り上げて、改善を求める発言である。

19日午後、まず日本政府代表が挨拶をかねて発言。続いて10カ国ほどが、それぞれ日本政府の努力を歓迎する形式的発言をした。それからNGOである。NGOの発言時間は全体で10分と限られている。一つのNGOが1分か1分30秒しかないので、どのNGOも端的に要求事項を突きつける。また、事前に登録していても、時間が過ぎると終了になるので、発言できないNGOも出る。数年前、私は11番目で、10番までで終了となり涙を呑んだことがあった。

NGO冒頭の発言は、反差別国際運動(IMADR)で、人種差別撤廃NGOネットワークの意見を含めて、人種差別撤廃法を日本政府が拒否していることを指摘し、独立した人権委員会が設置されていないことにも言及、日本政府に人権促進の行動計画を作成するよう求めた。次に国際民主法律家協会(IADL)が福島の被災者・避難者の権利が保障されていないこと、UPRのオーストリア等の勧告を受け入れるべきことを指摘した。オランダのNGOの対日道義請求財団は、戦中のインドネシアにおけるオランダ人被収容者の権利、補償について発言した。アムネスティ・インターナショナルは、死刑など刑事人権について発言した。グリーンピースは、福島の被災者である森松明希子さんが自己紹介をして、被曝の恐怖と健康侵害、子どもたちの健康への不安を訴え、日本政府が生存権を保障していないと述べた。のびやかで大きな声だったので、みんなによく聞いてもらえたと思う。ヒューマンライツ・ナウも福島の被災者の権利を訴えた。フランシスカン・インターナショナルは沖縄の人々の権利を取り上げた。

最後に、日本政府が少し発言し、沖縄人は日本人と同じであり先住民族ではないとか、福島については復興に力を入れているとか、言っていた。日本政府の言う復興に人間的復興が入るかどうかが問題だが。

こうしてUPR日本の結果文書が採択された。次回のUPRは4年後になる。


人権条約機関による日本報告書の審査は、18年8月に人種差別撤廃委員会の4回目の審査が予定されている。それと子どもの権利委員会の審査も18年か19年には回ってくるはずだ。