Friday, March 06, 2015

沖縄の自立と平和とは何か

大田昌秀・新川明・稲嶺惠一・新崎盛『沖縄の自立と日本――「復帰」40年の問いかけ』(岩波書店、2013年)

サバティカルで日本にいない時に出版された本をようやく読んだ。

すごいメンバーだ。巻末座談会の司会の屋嘉宗彦も含めると5名の論客が揃っての、沖縄論=日本論である。
「復帰」40周年は未来を切り拓く決断の年/大田昌秀
「祖国」意識と「復帰」思想を再審する/新川明
東アジアの平和と沖縄/新崎盛
新たな沖縄振興策について/稲嶺惠一
座談会・沖縄の自立と日本の自立を考える
「今や日本国憲法は安倍政権の下で文字通り危機に瀕している」と見る大田は、日本国憲法が沖縄の人びとの生活に生き生きと息づいて」いたことを想起し、「それが今後はより一そう生活の場で血肉化することを心から念願する次第である。あえていえば、その覚悟こそが、沖縄の人びとが国家権力の理不尽な決定に抗して平和な沖縄を取り戻す、もっとも強固な思想の核になりうるとおもう」という。

「4・28屈辱の日」を「主権回復の日」として祝った安倍政権の愚行に対して、「反復帰論」の新川は、「政府が4・28に式典を開くことを喜んでいる」という。「沖縄に極めて理不尽な対応を取り続けてきた日本と言う国家の本質をむき出しにしてくれた。『日本はこんな国なんだ』と気付くいい機会になる」からだ。新川は沖縄の運動の次のステップを構想する。

沖縄現代史を記録し続けた新崎は構造的沖縄差別を問い返しつつ、「沖縄の力は、強大な国家権力への抵抗という点でも、東アジアにおいて果たしうる政治的役割という点でも、微々たるものに見える。それでも沖縄は、諦めることを許されない。諦めることは、歴史的文化的独自性の自己否定にほかならないからだ。そのことをヤマトの平和勢力は、どう認識し、どう行動しようとしているのだろうか」と問う。

沖縄が東・東南アジアの中心に位置することを積極的に位置づけなおす稲嶺は、軍事ではなく、経済や文化の面でその位置の特性を発揮するために、教育に可能性を見出し、「沖縄21世紀ビジョン」を出発点に、これからの沖縄振興策の在り方を提言する。

座談会の中で一番目を引かれたのは、2012年11月、当時の翁長・那覇市長が言ったという「沖縄に経済援助なんかいらない。税制の優遇もなくしてください。そのかわり基地(の土地)は返してください」という言葉を、新川も新崎も、そして稲嶺も高く評価していることだ。なるほど、と思う。「オール沖縄」の核の一つがここにある。

「沖縄独立論」はますます重要な議論になりつつある。そこで本当に問われているのは「日本独立論」だ。第1に、日本はアメリカから独立できるか。第2に、日本は沖縄から独立できるか。