国連人権理事会第28会期(3)日本と中国の応酬
3月5日昼頃、人権理事会において、日本政府と中国政府のやり取りがあった。ちょうど知人と話しているときに始まったので、あわててイヤホーンを耳にしたが、メモを取る余裕がなかった。以下は、不正確・不十分だが、応酬の直後に記憶に基づいてメモしたもの。
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日本――先ほどの中国政府の発言に対して反論権を行使する。日本は70年前のことについては繰り返し悔恨remorseの意思を表明してきた。それゆえ、第二次大戦後、日本人は平和を愛する国民peace
loving peopleとして、平和に貢献してきた。
中国――日本政府の発言に対して反論権を行使する。日本は「慰安婦」の歴史を教科書から削除し、侵略と植民地支配の過去を消そうとしている。国際社会の反発を買っているのに、今行われようとしている。日本に正しいパースペクティヴを持つように促す。
日本(2度目の反論)――中国政府の発言に誠実にお答えしたい。先ほどの発言で述べたとおり、日本は第二次大戦後、peace loving nationであり、世界の平和に貢献してきた。
中国(2度目の反論)――日本政府の発言に留意するが、再び次のことを繰り返したい。日本は被害者人民の声を尊重するべきであり、歴史を否定する試みを諦めるgive upべきである。被害者の尊厳を踏まえて、正しいメッセージを発するべきだ。
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以上が応酬の様子。大本の中国政府発言は聴いていない。こうした応酬は何度も続いてきたことである。3月3日には日本と韓国の間でも同じような応酬があったようだが、私はその場にいなかった。読売新聞が報じたようだ。何年も同じような応酬が続いてきた。
しかし、今回は以前とは違っている。以前は、日本政府は必ず村山談話の一部を引用してきた。重要箇所を読み上げることもあった。今回の2度の発言では村山談話に触れなかった。最初にremorseとは言ったが、具体性はなかった。代わりに、新たに入ったのが、peace loving
peace, peace loving nationだ。これにはあっけにとられた。従来、私たちNGOが発言するときに、日本はpeace loving peopleたるべく「慰安婦」問題を解決せよ、と言ってきた。日本政府が開き直ってこの言葉を責任逃れのために使い始めた。困ったものだ。