スイスの南部、ヴァレー州の入口のマルティニの美術館へ行ってきた。正式名称はピエール・ジアナダ財団の美術館だ。マルティニはローマ時代からの町で、ローマの円形闘技場が発掘された。その敷地に美術館が置かれている。クラシックカー博物館もある、近くにはセントバーナード博物館もある。
美術館は、遺跡から発掘された品を常設しているが、それ以外に、頻繁に企画展をやっている。マネ展、セザンヌ展、ゴッホ展、ピカソ展といった、有名どころの作品を揃えてきた。鉄道会社と提携して、運賃と入館料の割引をしている。春休みや夏休みには子どもを連れた家族が見に来る。美術入門としてとても便利な美術館だ。
今回は「アンカー、ホドラー、バロットン・・・」展だ。アンカーとバロットンが15点ほど、ホドラーは20点以上。他に、セガンティーニ、クーノ・アーミエ、アリス・ベイリー、アンジェリカ・カウフマン、ベックリンなど。つまり、スイス人、又はスイス所縁の画家たちの展覧会だ。クレーとキルヒナーはなかった。
日本でも去年はホドラー展、バロットン展、チューリヒ美術館展が開かれたし、2011年にセガンティーニ展もあったので、重なる面もあったが、初めてみる作品もいくつか。アンカーはベルン美術館で大規模なアンカー展を観たので、物足りなかったが。ホドラーは、ジュネーヴ湖、自画像、そして瞑想の作品群。バロットンは独特の風景画と裸婦像(まさにバロットンらしい、美しくない不思議な裸婦像たち)。アリス・ベイリーの自画像も、セガンティーニの数少ない裸婦像も初めて見た。アウグスト・ジャコメティの猫も良かった。
売店に『ヴァレー州の画家たち』のカタログが置いてあった。地元ヴァレー州の画家と作品をまとめたもので、おもしろそうだったが、フランス語版だけなので買わずに来た。「スイスの美術館」の授業に必要なので、次回には買ってこよう。