Saturday, March 06, 2021

ヘイト・スピーチとソーシャルメディア(2)

フェルナンド・デ・ヴァレンヌ「マイノリティ問題特別報告者」が国連人権理事会第46会期に提出した報告書(A/HRC/46/58. 26 January 2021)の紹介を続ける。

前回、「人権を基礎にしたアプローチを用いてソーシャルメディア上のマイノリティに対するヘイト・スピーチに対処する一般的勧告」を紹介したが、報告書は次のような構成である。

Ⅰ 序論

Ⅱ 人権を基礎にしたアプローチを用いてソーシャルメディア上のマイノリティに対するヘイト・スピーチに対処する一般的勧告

Ⅲ ソーシャルメディア上のマイノリティに対するヘイト・スピーチの原因、規模、影響に対処するための勧告

Ⅳ 国際法・制度枠組に関する勧告

Ⅴ オンライン・ヘイト・スピーチの規制に関する勧告――国際組織、各国、インターネット企業及びソーシャルメディア・プラットフォームの役割と責任

Ⅵ マイノリティにとってより安全な空間に向けた勧告――オンライン・ヘイト・スピーチに対処する積極的イニシアティブ、国内人権機関、人権団体、市民社会その他の関係者の役割

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「Ⅲ ソーシャルメディア上のマイノリティに対するヘイト・スピーチの原因、規模、影響に対処するための勧告」の主な内容は次の通りである。

 

    各国は、インターネット、特にソーシャルメディア・プラットフォームが、意見・表現の自由、結社の自由、国民的民族的宗教的言語的マイノリティの構成員の惨禍とエンパワーメントが補償されるような、安全な環境を作るように確保するべきである。

    各国はマイノリティに対するヘイト・スピーチ、ヘイト・クライム及びレイシズムに対する法・政策枠組みを、国際人権規範に沿って、改善し、オンライン情報伝達において必要な法的制度的政策及び行政的枠組みを創設するべきである。ソーシャルメディアで主にヘイト・スピーチの標的とされるマイノリティが、これらの過程の一部となり、包摂政策を策定するのに援助できるようにするべきである。

    各国、テクノロジー・ソーシャルメディア企業は、マイノリティに対するヘイト・スピーチ、ヘイト・クライム、レイシズムについてのゼロ・トレランス政策をもって解決するべきである。

    テクノロジー・ソーシャルメディア企業は、人権を完全に尊重するのに適切な方法で行動し、合法的コンテンツの意図せざる削除を予防するするために効果的で適切な安全策を履行し、迅速、完全かつ首尾一貫してヘイト・スピーチを削除し、アクセスできなくさせるべきである。

    ソーシャルメディア・プラットフォームは、ヘイト・スピーチを理解し認識し、寛容にならないように、コミュニティの基準と用語を確立するべきである。すべてのヘイト・スピーチを削除するため、規則が迅速、完全、一貫して履行されるようにするべきである。

    各国とオンライン企業は情報収集を改善し、収集情報を提示するべきである。ヘイト・スピーチの原因と実行者、その背後にあるメカニズム、その条件を特定する措置を講じるべきであり、その原因と実行者に対処するべきである。

    各国と国際組織及び地域組織はデジタル・リテラシーと人権リテラシーをもって、オンライン・ヘイト・スピーチを認識、拒否し、立ち上がるべく市民をエンパワー措置を講じるべきである。

    各国は、ヘイト・スピーチに反対する仕事をするために国際基準に合致した独立の権威ある特別制度を確立するよう考慮するべきである。

    各国は市民社会組織がオンライン・ヘイト・スピーチを報告するために対応するメカニズムを確保するべきである。

    各国は特にオンライン・ヘイト・スピーチに関して、マイノリティの権利につき法執行機関や司法機関に適切な特別研修を提供するべきである。法執行官側のヘイト・クライムは完全かつ速やかに捜査し、制裁を科すべきである。

    メディア・プラットフォームは、マイノリティ、先住民族、その他の集団の自己の言語によるメディア・アクセスを容易にし、メディアを保有するよう促されている。メディア多元主義を通じてのエンパワーメントは、ヘイト・スピーチに他行するスピーチの登場を容易にする。

    各国、メディア及びソーシャルメディア企業、及び市民社会は、包括的な方法で、ユダヤ人とムスリムに対する歪曲や組織的偏見に対処するよう促されるべきである。

    各国が一次的な義務の担い手であるが、すべての関係者、テクノロジー企業、特にソーシャルメディア・プラットフォームは、人権を基礎にしたアプローチを通じて、ヘイト・スピーチと闘うのに寄与しなければならない。