Monday, August 05, 2019

誰も知らなかったフォッサマグナ


藤岡換太郎『フォッサマグナ』(ブルーバックス)

日本海側の新潟県糸魚川市から、太平洋側の静岡県清水市や神奈川県足柄平野に至る地域をフォッサマグナという。日本列島の真ん中を横切るフォッサマグナ。事実、日本列島は東西で地質的に全く異なっている。地層や岩石が違う。植生も違うという。

このことはたぶん中学生の頃に教わった、と記憶する。フォッサマグナという言葉はずっと知っていた。

しかし、中身は全く知らなかった。

1500万年前に生まれた深さ6000メートル以上の巨大な溝だという。

その上に数々の火山や堆積物が積み重なっている。世界で唯一の巨大構造。

東西を分断するだけでなく、南北も分断する。

西日本からの中央構造線をかき消してしまう。

フォッサマグナと名付けたのは、ナウマン象の由来となった学者ナウマンだそうだ。

フォッサマグナがわかれば、日本列島形成の謎がわかる。日本海形成の謎もわかる。

大筋はプレートテクトニクスだが、それだけで全て説明できるわけではない。

フォッサマグナの補助線を引くことで、東アジアの全体構造が見えてくるはずだ、という。

写真、地図もふんだんに使って、わかりやすい文章で、フォッサマグナの謎に迫る。まだまだわからないことが多く、謎の全てが解明されたわけではないが、面白く読める本だ。