Wednesday, December 29, 2021

ヘイト・スピーチ禁止法(203)タイ

タイ政府がCERDに提出した報告書(CERD/C/THA/4-8. 17 June 2019

タイは条約第4条に留保を付していたが、2016107日、留保を撤回した。現行法は条約第4条の義務に合致し、世界人権宣言の諸原則及び条約第5条の諸権利を尊重している。

憲法第25条は公的生活領域における直接差別と間接差別と闘うため補佐別の禁止を定める。公務員の雇用、財産保有と性質、取引、ビジネス党について差別の禁止である。憲法第25条は、憲法で保障された権利や自由を侵害された者は、裁判所に権利救済を申し立てることができる。とする。独立の人種差別禁止法を制定していないが、人種憎悪の煽動やヘイト・スピーチは刑法の侮辱罪、名誉毀損罪として処罰される。人種差別に関する膨大な裁判が行政裁判所で審理されている。

2014年に報告書「ICERDの留保撤回に関するタイの準備」に従って、現行法は人権原則に基づいている。特定の民族集団を差別する法や政策はない。

刑法に加えて、2008年の放送TV企業法第37条は、国家の安全、公共の秩序、人々の善良な道徳に悪影響を与える番組を放送することを禁止している。法律に違反した放送局は、第2級行政罰として5万以上50万以下のバーツを科される。1979年の消費者保護法第22条は、法律違反を直接又は間接に支持する言説を含む広告を犯罪化し、国民を文化的に貶め、人々に不統一をもたらすことは、3月以下の刑事施設収容又は3千バーツ以下の罰金である。

2010年の放送テレコミュニケーション組織法によって設置された放送テレコミュニケーション委員会は、テレコミュニケーション業務を行う企業に承認を与えるが、当該ビジネスによって人々の権利や自由を侵害しないこと、個人のプライヴァシーの権利を保護すること等を指示する。

CERDがタイに出した勧告(CERD/C/THA/CO/4-8. 3 December 2021

条約第4条の人種主義ヘイト・スピーチやヘイト・クライムを明示的に犯罪化する法律がない。その結果、人種主義ヘイト・スピーチに関する包括的な情報が報告されていない。メディアやインターネットにおける人種憎悪の煽動、特に政府職員による人種的ステレオタイプの宣伝がなされているとの情報がある。

条約第4条に沿って人種主義ヘイト・スピーチとヘイト・クライムを明示的に犯罪化する法律を導入すること。人種に基づいた犯罪について人種主義動機を刑罰加重事由とすること。メディアやインターネットにおける人種主義ヘイト・スピーチや人種主義暴力の煽動と闘い、政治家やメディア関係者による人種主義ヘイト・スピーチを公的に非難すること。

民族集団、、先住民族、アフリカ出身者、移住者、難民、無国籍者に対する偏見や否定的ステレオタイプを撤廃する啓発や教育キャンペーンを行うこと。

人種主義ヘイト・スピーチやヘイト・クライムを報告、捜査、訴追、処罰する実効的措置を講じること。

警察官、検察官、裁判官に人種主義ヘイト・スピーチとヘイト・クライムについて研修を行うこと。