Sunday, December 12, 2021

宗教的ヘイト・スピーチと闘う04

N 個人がその宗教に関わらず代表され、社会参加すること

2012年以来報告してきた諸国の内12カ国が、個人がその宗教に関わらず代表され、社会参加することを促す措置を講じてきたが、新型コロナは宗教的理由に基づく差別を増大させている。

キューバは、宗教に関わらずすべての市民がすべての社会領域で代表と参加を実現するように促している。宗教指導者4人が国家人民会議に代表となっている。

メキシコによれば、宗教問題監督官は宗教者との対話と平和構築を進めている。

パキスタンは、政治参加、雇用、教育分野でマイノリティに属する個人の平等参加を保障する積極的是正措置を講じている。

ボリビアは、政治参加の権利、結社の自由、健康、労働、住居、食料、教育について差別のない完全な平等を確保するため法的政治的枠組みを用意している。

ラトヴィアによれば、労働・雇用、健康、経済活動、教育、子どもの権利について差別を禁止する法的措置を講じている。

O 宗教的プロファイリングに強く反対する

今回報告した諸国の情報にはこの点での重要情報が含まれていない。

P 宗教施設、墓地、教会の尊重と保護の措置と政策

コスタリカでは、宗教施設に対する過激なデモや攻撃は見られない。文化省はカトリック教会の宗教モニュメント遺産保持のために財政支援している。

パキスタンは、地方政府が宗教施設の保護措置を講じている。2020年に、ゾーブ、バルチスタンの200年の歴史のヒンドー寺院を修復し、ヒンドゥー共同体に返還した。

Q 新型コロナ・パンデミックの文脈における措置

バーレーンは、スンニ派とジャファリ派と協力して1000以上の宗教施設で新型コロナと闘うキャンペーンをしている。政府は女性の公衆保健のために啓発をする女性チームを組織した。国家人権委員会は、新型コロナの文脈で宗教の自由が損なわれないように監視している。

イタリアは、2020年、新型コロナに関連してマイノリティに対する不寛容と差別が増加しないよう包括的監視を行っている。2020111月、身体攻撃、言葉による攻撃などの事案が30件記録された。

トルコによると、新型コロナの宗教の自由への影響を減らす措置を講じている。家族・宗教センターが各地で相談体制を採っている。

 

Ⅲ 国連人権高等弁務官事務所及び人権メカニズムがとった行動

以下は次の項目から成る。

A 国連人権高等弁務官事務所

B 人権メカニズム

A 国連人権高等弁務官事務所

人権高等弁務官事務所は「国連ヘイト・スピーチ戦略・行動計画」を作成した。人権高等弁務官事務所はベイルート宣言の履行促進も図っている。

国連ヘイト・スピーチ戦略・行動計画

https://maeda-akira.blogspot.com/2021/05/blog-post_8.html

ベイルート宣言

https://maeda-akira.blogspot.com/2021/02/blog-post_19.html

人権高等弁務官事務所は反ユダヤ主義と闘う仕事を強化している。2020年のホロコースト被害者記憶国際デーに、高等弁務官は人権教育を強調し、普遍的人権原理と歴史の教訓を人々が理解できるように促進している。20201月、高等弁務官はジュネーヴの国連欧州本部で「忘れてはいけない」という展示を行った。201912月、UNESCO、宗教の自由特別報告者、世界ユダヤ人会議と協力して反ユダヤ主義に反対する教育政策のワークショップを開催した。

高等弁務官は、新型コロナ危機の文脈で人種差別に関するガイダンス、新型コロナとマイノリティの権利に関するガイダンスを発表した。

2020528日、高等弁務官、ジェノサイド予防国連事務総局顧問等が「新型コロナ・パンデミックに対処する宗教者の行動のグローバルな誓い」のための協議を開催した。高等弁務官は世界の宗教指導者に、多様なマイノリティを標的とする不寛容とヘイト・スピーチに反対して発言するように促した。「宗教者の行動のグローバルな誓い」には、宗教者が新型コロナ・パンデミックに際して行う観葉の宣言が含まれる。