キルギスタン政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/KGZ/8-10.
20 January 2017)
憲法第一六条、刑事訴訟法第一六条、行政責任法第五五〇条が条約第四条の要請に対応している。法執行機関は民族、人種、宗教、地域間の敵対現象に対する措置を講じている。内務省の情報によると、過去五年間の刑法第二九九条(民族、人種、宗教、地域間の敵対)に関する事件は三四五件である。二〇一一年七〇件、一二年六七件、一三年七五件、一四年七五件、一五年五八件。
検事局の情報によると、刑法第二九九条の事件処理状況は次のとおりである。二〇一一年、一三件のうち、国家安全委員会が四件、検察四件、内務省五件。一二年、九件のうち、国家安全委員会が五件、検察二件、内務省二件。一三年、六件のうち、国家安全委員会が四件、検察一件、内務省一件。一四年、一二件のうち、国家安全委員会が六件、検察一件、内務省五件。一五年、三件すべて国家安全委員会。
イスラム国(IS)が重大な脅威となってきた。キルギスタン市民がリクルートされ、シリアやイラクなど紛争地に送られたのは一六七件である。この期間に、紛争地に向けてキルギスタンから出発した人は八〇三人である。内務省は関係各局とともに、テロリスト予防に努力を続けている。
裁判所の情報によると、最高裁が扱った事案は次の通りである。二〇一一年、刑法第二九九条(民族、人種、宗教、地域間の敵対)で九二件、九六人(うち女性が七人)、有罪判決は八一件、無罪は〇、手続終了四人、差戻し一一人。刑法第二九九条一項(民族、人種、宗教、地域間敵対の煽動目的の活動をした組織)、事件なし。
一二年、刑法第二九九条で九一件、九三人(女性八人)、有罪は七七件、無罪は〇、手続終了二人、差戻し一四人。刑法第二九九条一項、事件六件、六人(女性〇)、判決五件、無罪〇、差戻し一人。
一三年、刑法第二九九条で七三件、七三人(女性六人)、有罪は六〇件、無罪は一件、手続終了一人、医療的強制措置二人。刑法第二九九条一項、事件八件、八人(女性六人)、判決六人、無罪〇、差戻し二件。
一四年、刑法第二九九条で九一件、九一人(女性五人)、有罪七〇件、無罪は一件、手続終了二人、差戻し一八人。刑法第二九九条一項、事件九件、一四人(女性三人)、有罪一四人、無罪〇。
一五年、刑法第二九九条で一三〇件、一三〇人(女性が一七人)、有罪九八件、無罪は一件、差戻し三一人。刑法第二九九条一項、事件四件、五人(女性〇)、有罪五人、無罪〇。
人種差別撤廃委員会のキルギスタンへの勧告(CERD/C/KGZ/CO/8-10. 30 May 2018)
条約第一条に従って、直接間接の人種差別を定義し、条約第四条に従って、処罰される犯罪として人種差別現象を定義すること。平等機会を促進し、構造的差別に対処する特別措置を講じる可能性を検討すること。一般的勧告第一号、第七号、第一五号に合致した法律を制定するため、国連人権高等弁務官事務所に協力を求めること。近年、人種民族差別に関する申立て事例がないので、提供される救済の欠如、司法的救済の不十分さ、報復の恐れがないか検討すること。マイノリティの司法へのアクセスに必要な措置を取ること。反差別法を制定し、広く普及すること。人種差別事案の統計、及びその捜査、訴追、判決、被害者の特徴について情報を提供すること。