スロヴァキア政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/SVK/11-12.
11 August 2016)
人種主義や人種的不寛容に対処する刑法規定は、ジェノサイド(第四一八条)、基本権と自由の抑圧を目的とする集団の支持・助長(第四二一条、四二二条)、過激文書の製作・配布・所持(第四二二条a~c)、ホロコースト及び政治体制犯罪の否認と是認(第四二二条d)、国民、人種、信仰の中傷(第四二三条)、国民、人種、民族憎悪の煽動(第四二四条)、人種、国民、国籍、皮膚の色、民族集団又は出身を理由とする人の煽動、中傷、脅迫(第四二四条a)、非人間化(第四二五条)がある。
刑法第一四〇条はいわゆる「特別の動機」を定める。特別の動機は次の場合に犯罪実行とみなされる。人種、国民、国籍、皮膚の色、民族性、出身、ジェンダー、宗教のゆえの暴力又は憎悪の公然煽動の故意があった場合で、同様の理由による脅迫の文脈でなされた場合。特別の動機はもろもろの犯罪において刑罰加重事由となる。
二〇〇九年、一定の形態の人種主義・排外主義と闘うEU枠組み決定の導入によって過激主義犯罪が刑法に組み入れられた。
二〇一四年、過激主義に関連する九一件の違法行為が記録された。これには過激主義犯罪だけでなく、過激主義と関連する犯罪が含まれる。
人種差別撤廃委員会のスロヴァキアへの勧告(CERD/C/SVK/CO/11-12.
12 January 2018)
反差別法を完全に履行し、人種差別の申立てがあれば実効的に捜査すること。人種差別被害者すべてに法的救済と補償へのアクセスを保障すること。公務員、裁判官、法執行官に人種差別撤廃条約や人種差別規制法の適用に習熟するよう訓練すること。刑事立法を条約第四条に完全に合致させること。人種差別を煽動・助長する組織とその活動に対する手続きを容易にし、参加や財政支援が訴追されるようにすること。言葉によるものも身体によるものも、人種的動機による犯罪すべてが捜査され、実行者が訴追、処罰され、人種的動機が刑罰加重事由となるように確保すること。
一般的勧告第三五号に従って、ヘイト・スピーチの予防とこれとの闘いのため実効的な措置を講じ、メディア関連法を国際基準に従わせ、メディア、特にインターネットにおける人種主義を予防、制裁、抑止すること。すべてのヘイト・スピーチが捜査、訴追され、実行者が処罰されるようにし、ヘイト・スピーチの統計情報を提供すること。「人種主義・排外主義・反ユダヤ主義その他の形態の不寛容の予防・撤廃のための行動計画」を実効的に履行すること。多様性を尊重し、人種差別を撤廃するため公衆に意識啓発キャンペーンを行うこと。