Saturday, February 02, 2019

ヘイト・クライム禁止法(149)ヨルダン


ヨルダン政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/JOR/18-20. 18 July 2016

人種、皮膚の色、世系、民族的人種的出身を理由とする、人々又は集団に対する暴力及び煽動はすべて犯罪である。刑法第一五〇条は「異なる信仰集団その他の国民構成員の間に信仰又は人種的対立を掻き立て、又は紛争を作り出す意図又は効果をもって、書いたり、話したり、行動すると、六月以上三年以下の刑事施設収容及び五〇ヨルダン・ディナール以下の罰金が科される」とする。刑法第一三〇条は「戦時又は戦争が予期される時期に、国民感情を弱体化させ、又は人種又は信仰の対立を掻き立てるために宣伝を行った者は一定期間の重労働を科せられる」とする。

人種主義活動を支援することについては、刑法八〇条は、煽動者の定義、煽動者の責任、幇助等の従犯などを定める。

人種差別を助長及び煽動する組織及び宣伝活動は犯罪として禁止される。刑法第一五一条は、同条に掲げられた目的で設立された集団に属する者には六月以上三年以下の刑事施設収容及び五〇ヨルダン・ディナール以下の罰金が科されるとする。犯行者が当該集団の公的地位にあれば、一年以下の刑事施設収容及び一〇ヨルダン・ディナール以下の罰金である。いずれの場合も、当該集団は解散される。広告及びメディア活動を規制する二〇〇九年の法律第七六号六条によると、「以下の行為は本規定の侵害に当たる。国民感情、宗教感情、公共道徳を攻撃する公然化又は文書による広告、又は公共の秩序の維持に対する加害。人種的優越性又は人種憎悪の思想の宣伝、並びに人々又は集団に対する人種差別の煽動は、処罰される犯罪である。」

二〇〇二年の法律第七一号のオーディオビジュアル・メディア法第二〇条は、認可要件として、人間の尊厳、個人のプライバシー、他人の自由と権利の尊重に加えて、公共の品位、憎悪の煽動、テロリズム、暴力を流布しないことを掲げる。

二〇〇七年の法律第二七号の印刷出版法第七条は、ジャーナリストの職業倫理を定める。思想、意見、表現、情報の自由が掲げられるが、同時に、市民の間に憎悪を掻き立て、紛争を助長しそうな文書の出版を禁止する。

人種差別撤廃委員会のヨルダンへの勧告(CERD/C/JOR/CO/18-20.26 December 2017

刑法の規定が条約第四条に合致していない。ヘイト・スピーチを禁止するための履行に関する包括的な情報がない。一般的勧告第七号、第八号、第一五号及び第三五号を想起し、刑法が条約第四条に完全に合致するようにすること。ヘイト・スピーチに関する国内法の履行に関して裁判判決を含む詳細な情報を提供すること。