中田考監修『日亜対訳クルアーン』(作品社、2014年)
第4章は女性に関することが多く言及されているので女性という表題が付されている。一般にイスラムの女性差別の根拠となる部分と理解されている。
一夫多妻制を推奨し、妻は4人までとする。相続の規定も男子優先。姦通罪に関する女性への厳罰。家父長制。
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「男たちは女たちの上に立つ管理人である。アッラーが一方に他方以上に恵み給うたことゆえ、また、彼らが彼らの財産から費やすことゆえに。それゆえ、良き女たちとは、従順で、アッラーが守り給うたがゆえに留守中に守る女たちである。おまえたちが不従順を畏れる女たちには、諭し、寝床で彼女らを避け、そして、彼女らを撃て。もし彼女らがおまえたちに従うなら、彼女らに対し道を求めるな。まことにアッラーは崇高にして大いなる御方であらせられた。(4:34)
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第4章後半は、イスラムにおける政治、異教徒や悪魔と異なるムスリムの戦い、偽信者への警戒、戦闘時の礼拝などが定められる。
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1300年前の戦争と素朴な家父長制の時代の信仰と戒律を述べている。現在もそのまま宗教規範とされてしまっていることに問題の根源があるが、信仰コミュニティにとっては、聖典である以上、改めることはできない。戦争の直後に述べられた言葉が多く含まれるため、戦時に固有のことを述べたのに、後の人々がこれを普遍化してしまったという話も聞いたことがあるが、さてどうなのか。
また、古臭い幼稚な発想と批判されても、その批判を受け入れることもできない。偉大な唯一の神アッラーの教えをムハンマドが述べた以上、何千年たっても守るべき規範であるということになる。
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国連人権委員会の「女性に対する暴力特別報告者」のラディカ・クマラスワミさんが、講演の中で、「宗教そのものがつねに女性差別と言う訳ではない。どの宗教も女性を励ます面と女性を差別する面がある。どの宗教にも女性に対する暴力を放置する面と、批判する面がある。」という趣旨のことを言っていた時に、なるほど、と思って聞いていた。
第4章を読むとイスラムは根本的に女性差別的ではないかとも思うが、違う面もあるのかもしれない。イスラムの世界にもフェミニズムがあるというが、どのような主張をしているのか、まだ読んだことがない。