Wednesday, March 13, 2019

国連でフクシマを訴える


13日、ジュネーヴの国連欧州本部で開催中の国連人権理事会40会期の議題4で、NGOの国際人権活動日本委員会(JWCHR、前田朗)は、ふくかな(福島原発神奈川訴訟)について、次のような発言をした。



<一昨日、3月11日は東日本大震災と津波の8周年であった。昨日、3月12日は福島原発のメルトダウン8周年であった。1986年のチェルノブイリに匹敵すると言われる福島危機の後、およそ16万もの人々が逃げた。本年1月時点で、3万2000以上の人々が福島県外に避難したままである。彼らは国内避難民(IDPs)にあたる。

 2月20日、横浜地裁は、日本政府と福島原発運営会社に対して4億1900万円の損害賠償を命じた。175人の原告のほとんどは、原発事故の後、福島県から東京の近くの神奈川県に避難することを余儀なくされた。自宅に帰りたいが、放射能汚染のために帰ることができない。

 横浜地裁は、専門家の検討によれば、政府は2009年9月には予見できたので、核事故を防ぐことができたと結論づけた。判事は、9世紀に発生したのと同じ大規模津波が再びこの地域を襲い、電源喪失を惹起するであろうと説明した。

 横浜地裁の賠償命令は、東京電力に対する8番目、日本政府に対する5番目の命令である。にもかかわらず、日本政府はこれまで5つの裁判所の命令を拒否している。

 国内避難民(IDPs)に援助と保護を提供するのは、国際法における政府の責任である。国連人権理事会が日本における国内避難民の状況を監視し、検討するよう要請する。>


3月11日から13日にかけて、人権理事会は議題4の審議を行った。議題4は、人権理事会が特に関心を有する国家・地域の人権状況を取り上げる。

このためシリア、ミャンマー、イラン、南スーダン、朝鮮、ブルンジ、エリトリアなどの人権状況が報告された。

各国政府の発言の中では実際には、圧倒的にベネズエラとカシミールの話が多かった。最近の事態だからだ。それに続くのは、イスラエル/パレスチナ、イエメン、中国の状況だった。もっとも、日本のマスコミは「北朝鮮問題」だけを報道するだろう。

欧米諸国からの非難に対して、ベネズエラは、アメリカによる内政干渉を訴えた。イエメン、キューバ、ボリビアなども欧米諸国の発言は政治目的であり、普遍性に欠けると批判した。中国は、アメリカこそ人権侵害大国であり、いまやイギリスやドイツのヘイト・クライムは最悪であると主張した。朝鮮は、欧米諸国のダブルスタンダードを批判し、「イギリスは人種差別が悪化しているし、ドイツではネオナチまがいの集団が大手をふるって活動している。特に日本はひどい。第二次大戦時に20万もの朝鮮女性を性奴隷にしたのに、今だに謝罪も補償もしていない」と述べた。日本政府は反論権を行使しなかった(人権理事会の場で批判された政府には反論権が認められている)。日本のマスコミはこの事実を報道するだろうか。