Friday, March 15, 2019

右派ポピュリズム・過激主義に対処する討論


国連人権理事会は、15日、ナショナリスト・ポピュリズムや過激優越主義者の台頭に対処するための討論をおこなった。事前に準備されていた討論だが、ちょうどニュージーランドでモスク銃撃事件が起きた。このため開会時に犠牲者のための黙祷が行われた。

冒頭にミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官があいさつ。ダーバン宣言とラバと行動計画の重要性を指摘した(どちらも日本ではあまり知られていないが)。

パネラー

シセンビル・ノンバリ・ンベテ(南アフリカ・プレトリア大学講師)

ペドロ・マルセロ・モラチアン(アルゼンチン・ガバナンス研究センター事務局長)

ラファル・パンコフスキー(ポーランド・「二度と繰り返さない」協会)

イレーヌ・サンティアゴ(フィリピン・ダバオ市長平和アドヴァイザー)


各国政府の発言では、最初にニュージーランドが、事件を簡潔に報告し、犠牲者に思いをはせ、NZはキリスト教徒にもイスラム教徒にも同じ大きな家でなければならない、全ての人が愛されるべきであり、ヘイトに居場所はないし、あってはならない、と述べた。

オマーンは、テロには国境はなく、宗教もない。ダーバン宣言に立ち返るべき、と述べた。

アンゴラは、アフリカ各国を代表して、NZで起きたことは世界で繰り返されてきたことだ、国際協調で対処、と述べた。

コスタリカは、ナショナリスト・ポピュリズムは時と場所によって多様な形態をとるので、これと闘う戦略も多様でなければならないとした。

EU、バーレーン、パキスタン、リビア、サウジアラビア、イラク、スペイン、ロシア、エクアドル、パレスチナ、チュニジア、レバノン、ガンビア、イラン、南アフリカ、ブラジル、インド、スペイン等が、次々と発言した。いずれも事件を非難し、犠牲者に思いをはせ、NZを励まし、パネラーに感謝を述べ、ヘイトや過激活動への厳しい対処の必要性を指摘した。テロ、ヘイト、過激主義との闘いを、国連と各国の協調で実施していこうという雰囲気作りがなされた。

こういう時に、知らん顔して黙っているのが日本政府だ。

ブラジルは、ヘイト・クライムやヘイト・スピーチは民主主義そのものへの攻撃であり、これと闘い、マイノリティや先住民族を守ることが政府の責任である、と述べた。いつも私が言っているのと同じだ。日本では受け入れられないが、国際人権法の世界では常識と言ってよいだろう。